大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)512 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

被告本人の上告趣意第一点は、違憲をいうが、論旨は、原判決の判示に副わない

事実を前提とする主張であり(原審裁判官が職権を濫用した旨の事実は記録上認め

られない。)同第二点も、違憲をいうが、原審において主張、判断のない事項に関

する主張であるばかりでなく、記録によれば、被告人及び弁護人は所論証人の法廷

外の尋問に際し反対尋問の機会を与えられていたにもかかわらずこれに立ち会わな

かつたものであつて、所論は前提を欠き(記録によると、被告人が出頭した分離第

一、三、四組併合の第一審第一九回公判期日―昭和二六・七・三一―において、裁

判長は主任弁護人申請の所論証人Aを採用し、同証人は受命裁判官をして来る八月

二三日熊本地方裁判所において尋問する旨の決定を宣し、―記録二九三八丁―受命

裁判官が右指定期日に熊本地方裁判所において前記証人の尋問を行つた際に被告人

及び弁護人は該証人尋問に立ち会つていないことが認められる。―同二九四九丁―

そして、原判決の維持した第一審判決は、裁判官の証人Aに対する尋問調書を証拠

に採用していない。)同第三点も、違憲をいうが、その実質は被告人の本件所為が

刑法所定の建造物侵入罪を構成しないという事実誤認、法令違反の主張に帰し(所

論現行犯で逮捕された四七名中の三七名が共産党員、朝鮮人であるために起訴され

た旨の事実は、記録上これを認めることができない。)同第四点中判例違反をいう

点は、判例を具体的に示していないから不適法であり、違憲をいう点は、被告人が、

原審において量刑や審理手続の点で朝鮮人なるが故に差別待遇を受けた旨の事実は、

記録上これを認めるに足る事跡がないから、その前提を欠き、いずれも刑訴四〇五

条の上告適法の理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

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よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

昭和三〇年一一月一日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 本 村 善 太 郎

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 垂 水 克 己

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